NC旋盤（Numerical Control Lathe）は、丸物部品の加工に欠かせない工作機械です。
金属素材を回転させながら刃物を自動制御で移動させることで、高精度な外径加工や穴加工、ねじ切りなどを行います。現在では自動車、産業機械、医療機器、半導体関連など、あらゆる製造業の基盤を支える設備となっています。

この記事では、NC旋盤の基本構造から種類、加工できる形状、機械選定のポイントまで分かりやすく解説します。

■ NC旋盤の基本構造

NC旋盤は大きく以下の要素で構成されています。

• 主軸（スピンドル）：素材を回転させる装置。チャックと呼ばれる爪でワークをつかみ、指定された回転数で高速回転します。
• 刃物台（タレット）：刃物を複数本収納し、自動で工具を交換する部分。外径・端面・溝入れ・ねじ切りなど、異なる刃物を短時間で切り替えられます。
• スライド（X軸・Z軸）：刃物台を移動させる軸。Z軸が前後、X軸が左右の方向に動き、形状を作り出します。
• NC装置：加工プログラムを管理する“頭脳”の部分。近年は対話型プログラミングや工具寿命管理など操作性が大幅に向上しています。

■ 加工できる形状

NC旋盤が最も得意とするのは「回転対称形状」です。

• 外径加工
• 内径（ボーリング）加工
• 溝加工
• 端面加工
• 面取り
• テーパ加工
• ねじ切り（外・内）

円筒部品、シャフト、ピン、ブッシュなど、丸い形状を中心とした部品の加工に最適です。

■ NC旋盤の種類

用途や目的に合わせて、さまざまなタイプがあります。

• 1主軸タイプ

最も一般的なNC旋盤。小ロットから量産まで幅広く対応できます。

• 2主軸（対向主軸）タイプ

主軸が2つあり、ワークを自動で受け渡しながら加工。工程集約と省人化に効果的で、量産工場で多く使用されます。

• 複合旋盤（ミーリング機能付き）

回転工具を装着し、穴あけ・溝加工・平面加工にも対応するタイプ。工程集約が進み、複雑形状にも対応可能です。

• バーフィーダー対応機

棒材供給装置と組み合わせて、長尺の棒材を連続加工する方式。24時間自動加工にも適しています。

■ NC旋盤が選ばれる理由

◎ 高精度

位置決め精度が高く、量産品でも寸法バラつきが少ない。

◎ 再現性

同じプログラムで同じ品質が保証される。

◎ 生産性

自動工具交換・高回転スピンドルなどで時間あたりの加工量が多い。

◎ 自動化との相性が良い

ロボット搬送や計測装置との連携が進んでいる。

■ 導入時にチェックすべきポイント

NC旋盤を選ぶ際は、以下の要素が特に重要です。

• チャックサイズ（6・8・10インチなど）
• 加工するワークの最大径・長さ
• 刃物台の種類（タレットの刀数）
• 回転工具の有無
• 主軸の能力（トルク・回転数）
• バーフィーダーやロボットとの連携
• クーラントや切粉処理能力

これらを踏まえることで、加工内容に最適なモデルを選ぶことができます。

■ NC旋盤は現代のものづくりを支える基盤

NC旋盤は、丸物加工の標準装備として、あらゆる業界で必要とされる工作機械です。
初心者にも扱いやすいモデルから、工程集約に優れた複合タイプまで用途は幅広く、
“安定した品質”と“高い生産性”を両立できる点が大きな魅力です。