2026.11.02

「お客様ごとの課題に応える」―キラ・コーポレーションの技術と底力

■焼玉エンジンから、世界のマザーマシンへ

愛知県西尾市吉良町に株式会社キラ・コーポレーションはある。
創業は1944年。船のエンジンづくりから始まり、時代の求めに応じて主力製品を変えながら歩んできた、生粋のものづくり企業だ。社名も、いくつかの会社が合併する中で、地名と時代に合わせて変わってきたという。
今回は、代表取締役社長の大竹良彦さんと、現場で働く社員の皆さんへの取材を通じて見えてきた、キラ・コーポレーションという会社の「らしさ」をお届けする。

■会社概要

会社名:株式会社キラ・コーポレーション
代表者:代表取締役社長 大竹良彦
設立:1944年2月22日
従業員数:89名
取扱品目:切削加工自動化ライン、切削加工機、難削材加工機、ボール盤/タッピング盤の製造・販売
事業所:本社・第1〜第3工場(愛知県西尾市吉良町)、東京営業所、大阪営業所

■現場探訪

キラ・コーポレーションの現場を歩くと、まず耳にするのが「カスタマイズ」という言葉。

同社の受注スタイルは、標準品をベースにしながらも、お客様の希望に合わせて機械を製造するというもの。既存の機械ではなかなか解決することができないところにも寄り添う提案をする。

製造した機械はすぐに使用できるのも特徴の一つ。工程能力を確認したうえで合格をもらってから出荷する。

製造工程には、段取りのプロがいて、ロスを最小限にするための生産性向上の工夫が重ねられており、機械としての品質を守るための管理も徹底されている。

■技術・製品の特徴:「困りごと」に合わせて、機械をつくる

キラ・コーポレーションの強みは、お客様一社ごとの課題に合わせてつくり込む技術力と提案力にある。
標準品をベースにしながらも、お客様の困りごとや需要にきめ細かく合わせていく。

その姿勢が、同社が長年大切にしてきた哲学だ。
テスト加工も行い、一つひとつの案件にじっくりと向き合う。
そうして積み重ねてきた信頼が、今の同社を支えている。

その提案力が今、力を発揮しているのが、半導体・航空機という新しい市場だ。

半導体製造装置の部品には、硬くてもろい難削材(脆性材)が使われることがある。
従来のタッチセンサーでは触れることができないため、カメラで位置を確認することで、難しい加工課題に応える製品も手がけている。

航空機分野では、長尺のアルミ材を、搬入から加工・切断・搬出までを全自動でこなす加工機を製造している。
長尺のワークを切断し、素材をストッカーに入れれば完成品まで仕上がっていく省人化システムも、人手が減っていく時代に応えるための挑戦のひとつだ。
「素材を入れて完成までしてほしい」というお客様の要望に、確実に応え続けている。

■社長インタビュー

大竹良彦 代表取締役社長
趣味:旅行や花火大会、航空祭へ行くこと。マジック。

「底力」で応える会社でありたい

― 会社の歴史
キラ・コーポレーションは、親族内承継を重ねてきた会社だ。曽祖父の代は船のエンジン(焼玉エンジン)、祖父の代はボール盤、父の代はマシニングセンタ。時代が変わるたびに、「新しいものを考えろ」と言われ続けてきたという。
「経営理念はずっと一緒。サービスだけを時代に合わせて変えてきた」
大竹社長は、ダーウィンの進化論を引き合いに、「生き残るものは、いかに環境に適応するか」だと語る。古くから付き合いのある取引先とのやりとりにも気を遣いながら、現場を毎日回り、社員に声をかける。それが、社長としての日課だ。

― 御社らしさとは
「文句を言うこともあるけれど、必ず最後は何とかしてくれる」大竹社長はそう表現した。
その飾らない言葉には、長年この会社で働いてきた人たちへの信頼がにじんでいた。

― これから挑戦したいこと
大きなテーマは「自動車からの脱却」である。
単価の高いものを扱い、高付加価値なかたちで自社の強みを活かしていく。半導体、そして航空機という新しい市場への進出も、その一環だ。
一方で、生産台数を増やすことにはこだわらない。低価格・大量生産ではなく、一人ひとりのお客様へ向き合っていくことを大切にしている。
「人を増やしてまで売り上げを上げたいとは思っていない」という言葉には、規模の拡大よりも、持続的な会社であることを大切にする価値観が表れている。人が減っていく時代の中で、自動化や仕組みづくりによって、少ない人数でも回せる体制を模索している。
社員に対しては、「まずはやってみよう」というスタイルで、開発したいという声を後押しする。無駄な会議を減らし、現場を優先する。融通を利かせ、社員が働きやすい環境をつくることを、経営の軸に据えている。

― これから出会いたい人
まずは、採用面。「こだわりがある人がいい」
機械を設計したい、自社ブランドを売りたい、次世代を担っていきたい――そんな想いを持った人と出会いたいと、大竹社長は語る。
企業としても、製造業で新しいことに挑戦している会社、航空機メーカーの下請け加工会社、海外展開に積極的な会社との出会いを求めている。

 

■社員インタビュー


森下直樹 営業部 部長
趣味:野球観戦。甘党。

「数字と向き合い、メンバーを想う」

― キラ・コーポレーションへ入社の理由
営業一筋、41年。入社のきっかけは友人の紹介。
当時は週休2日ではなく土曜出勤の会社も多かった。
「その中でも、キラは週休2日だったんだよね」と笑いながら教えてくれた。
当時は休みで選んだ会社だったが、「仕事が面白い」という気持ちが、ここまで続けてきた理由だという。
「毎日ほぼ、ずっと数字のことしか考えていない」と話す。売上目標や納期、利益といったプレッシャーと向き合いながらも、受注が取れた瞬間が一番嬉しいと語る。

― 仕事で大切にしていること
「約束を守ること」「誠実と謙虚さ」「絶対に遅刻をしないこと」という、シンプルだが決して揺るがない答えが返ってきた。
その積み重ねを大切にしながら信頼をつかんできた、営業としての人柄が伝わってきた。

― 会社の好きなところ
「各担当者の想いを認めてもらっていたこと」と答えた。
無謀に思える挑戦でも、腹に落ちる内容であればやらせてもらえる。そんな社風が、これまでの仕事を支えてきたのだろう。
そして、この会社の自慢できるところを聞くと、「底力」だと即座に答えた。
なんとかなる、なんとかする、なんとかしてくれる。すべての工程に関わるメンバーが必死に対応し、約束した期日を守ってくれる仲間たちへの信頼が、その一言に込められていた。
今後は、後進への「伝承」を、見据えている。


E.S 生産管理室 生産管理課

人材派遣を通じてこの会社と出会い、最初に配属されたのはボール盤の現場だった。「この製品が世に出て、みんなに使われていると思うとワクワクした」と、当時を振り返る。
慣れるまでは厳しく感じることもあったが、慣れてくると周りの人も色々教えてくれて、導いてくれる会社だと感じたという。

その経験を経て、今は生産管理室で製作日程や進捗の確認を担当。
原価集計にも関わるなかで、「先輩の凄さが分かった」という言葉には、これまでの先輩への敬意がにじむ。

「一所懸命やっていれば、見てくれている人がいた」
困ったときに声をかけてくれたり、手を差し伸べて助けてくれたりする環境があった。
会社の好きなところを尋ねると、返ってきたのは「ボール盤」という言葉だった。ボール盤やNC加工技術に誇りを持っており、会社の礎であり、自身も最初に関わったボール盤には特別な愛着があると教えてくれた。


Y.S 製造部 資材課 (※写真は取材にお答えいただいた方とは別の方です)

学生時代に機械設計を学ぶ中でものづくりに興味を持ち、企業訪問で知り、家から近かったキラ・コーポレーションへの入社を決めた。

資材課では、部品の発注から管理までを担う6名のチームを率いる。

「比較的自由にやりたいことをやらせてもらっている」と話し、業務効率化にも自らの裁量で取り組んできた。部品の納期が長引いたときも、自分で調べ、聞いて回りながら対応策を探る。後工程の人が困らないよう、気をつけるポイントをメモに残す気配りも忘れない。

「色々なことを経験させてくれるところ」が会社の好きなところだと語る。

これから挑戦したいことは、資材課の枠を越えた他部署との連携だと教えてくれた。

 

■未来への挑戦

半導体・航空機、二つの新しい柱へ。

キラ・コーポレーションが今後、力を入れていきたいと考えているのが、半導体分野の脆性材加工機と、航空機分野のアルミ引き抜き材加工機という二つの軸だ。

どちらも、これまで培ってきた「お客様の困りごとに合わせてつくり込む」という技術力が土台になっている。それを一つの実績で終わらせるのではなく、それぞれの市場におけるキラ・コーポレーションの新しい顔にしていく。半導体・航空機という、これまでとは勝手の違う市場に本腰を入れていくことが、次の挑戦になる。

脆性材加工機(「グライディングセンター」GCV-30)

HP:https://www.kiracorp.co.jp/product/539/

 

アルミ引き抜き材加工機(KN-40Hb)
HP
:https://www.kiracorp.co.jp/sol/653/

 

■出会いたい人・企業

お客様一社ごとの困りごとに向き合いながら、半導体・航空機という新しい市場へ踏み出したキラ・コーポレーション。その挑戦を一緒に広げていける相手として出会いたいと考えているのは、次のような人・企業だ。

  • ・製造業で新しいことに挑戦している会社
  • ・今ある機械とシナジー効果のある会社
  • ・航空機メーカー関連の加工会社
  • ・大物加工の依頼を検討している会社
  • ・海外展開に積極的な仕入先や企業
  • ・一緒に開発したい企業、協力会社
  • ・機械を設計したい人、自社ブランドを売りたい人
  • ・こだわりを持って働きたい、次世代を担う人材

 

■1分でわかる株式会社キラ・コーポレーション


■MAKERS編集後記

取材を通じて印象に残ったのは、「底力」という一言だ。
なんとかなる、なんとかする、なんとかしてくれる。「最後は必ず何とかしてくれる」。
上手くいくことばかりではないけれど、この会社で働く人たちの間に、確かに共有されている感覚なのだと感じた。
焼玉エンジンから始まり、ボール盤、マシニングセンタ、そして半導体・航空機分野へ。時代に合わせて姿を変えながらも、「困りごとに、本気で向き合う」という芯だけは変わらない。
そんな会社の輪郭が、今回の取材を通して少しずつ見えてきた。

 

キラ・コーポレーション様に会ってみたい方は、こちら

MAKERSの取材をご希望の企業様は、こちら

 

CONTACT お問い合わせ