新社屋通信第5号 ―図面から現実へ。少しずつ、確かな形に―
2027年春の完成を目指して建設が進む、三栄商事の新社屋。
普段は見ることのできない建設現場の様子や、工事が進む中で初めて知ったこと、実際に現場で感じたことなど、工事の進捗とともに少しずつ姿を変えていく様子を「新社屋通信」として社内外にお伝えしてきました。
目次
今回は、鉄骨建方が始まる頃から現在の木造建方まで、新社屋が形になっていく過程を一つの記事にまとめてご紹介します。
■いよいよ骨組みへ 鉄骨検査に立ち会いました
新社屋建設工事は基礎工事が完了し、建物の骨組みとなる鉄骨の検査へ同行しました。
3D-CADを用いて、柱と梁の接合部や各部材の取り合い、ボルト位置などが設計図どおりになっているかを一つひとつ確認しました。
完成すると見えなくなる部分だからこそ、この段階で細部まで確認することが、安全で品質の高い建物づくりにつながります。
10,100mmもある柱は、図面に対する誤差が±0mmという驚異的な精度で製作されていました。
製作はロボットによる溶接も活用されていますが、溶接による収縮量まで見越して加工・組立を行う必要があります。
高度な技術と豊富な経験を持つ職人の皆さんの技術力の高さに、改めて感心させられました。




■鉄骨建方が始まりました
基礎工事を終え、いよいよ鉄骨建方が始まりました。
最初に立った柱の根元には、工事の安全を願って塩・砂・米・酒を撒きました。
一本目の柱が立つ瞬間は、これまで図面の中でしか見ていなかった新社屋が、初めて「建物」として目の前に現れる瞬間でもあります。
鉄骨は「工区」と「節」に分けて建てられていきます。
工区は「場所」を、節(せつ)は「高さ」を表す区分です。
まずは第1工区、第2工区の第一節からスタート。
そして、工事が進むにつれて次々と柱と梁が組み上がり、建物の輪郭が少しずつ見えてきました。




■「この柱、浮いている?」
鉄骨建方の途中、現場を見ていて不思議な光景に気づきました。
なんと、柱の一本が地面に接していません。
この柱は、新社屋の裏口側の通路にあたる部分に設けられるため、地面まで柱を下ろすことができません。
そこで、周囲の梁や柱で支える構造となっており、鉄骨の状態ではまるで「柱が空中に浮いている」ように見えます。
完成してしまえば、おそらく気づかない部分です。
しかし、建設途中だからこそ見ることのできる、少し不思議な光景です。
「建物はこうやって支えられているのか」と、鉄骨建方ならではの面白さを感じる一場面でした。



■ 鉄骨の色にも理由があります
鉄骨が組み上がってくると、柱や梁の色が違うことにも気づきます。
「錆びているのでは?」と思われるかもしれませんが、これにもきちんと理由があります。
赤茶色の鉄骨は、吹付けによる耐火被覆処理を行う部分です。
吹付けによる耐火処理を行うため、あらかじめ錆止め塗装を施していません。
一方、灰色の鉄骨は、ケイ酸カルシウム板(ケイカル板)などを貼る方法で耐火被覆処理を行う部分です。
こちらは、あらかじめ錆止め塗装が施されています。
つまり、鉄骨の色の違いは単なる見た目の違いではなく、その場所でどのような耐火処理を行うのかによる違いなのです。
耐火被覆の方法は場所によって異なるため、鉄骨の製作段階から、それぞれに合わせた処理が行われています。
普段何気なく見ている建物の鉄骨にも、さまざまな工夫が詰まっています。

■ いよいよ高さが増していきます
第1工区、第2工区の第一節まで鉄骨建方が進むと、次は第二節へ。
ここから建物の高さが一気に増していきます。
新社屋は、第4工区・第3節まで鉄骨建方が行われます。
第一節の段階と比べると、最終的にはおよそ2.5倍程度の高さになります。
図面では何度も見ていた建物ですが、実際に鉄骨が立ち上がっていくと、その大きさを改めて実感します。
そして、第三節の施工が始まると、鉄骨はついに6階の天井高まで到達。
これが新社屋の鉄骨部分の最終的な高さです。
現場に立って見上げる鉄骨は、図面から想像していた以上に高く、
「こんなに大きな建物になるのか」と驚かされました。
建物内部ではエレベーターのシャフトも着々と立ち上がり、少しずつ「建物らしい姿」へと変わっていきました。



■ 鉄骨から、木造へ
鉄骨建方は概ね8月末まで続き、その後、工事は大きな転換点を迎えます。
新社屋の東側に設けられる木造部分の工事が始まります。
実は、この木造部分は新社屋の大きな特徴の一つです。
鉄骨建方が進んでいた頃、木造部分を構成する柱や梁の検査と、製造工場の見学にも同行しました。
工場には、新社屋で使用される木材が所狭しと並べられていました。
一つひとつの部材には番号が付けられ、実際に建物のどの部分に使用されるのかが管理されています。
完成した建物だけを見ると分かりませんが、一本一本の柱や一枚一枚の床材が、こうして工場で加工され、現場へ運ばれてきます。

■新社屋の床には「CLT」を使います
木造部分の床には、CLT(Cross Laminated Timber/直交集成板)を使用します。
CLTとは、板材を交互に90度向きを変えながら積層し、接着して一体化した大判の木質パネルです。
新社屋では、5層・厚さ150mmのCLTを床材として使用します。
東側の木造部分では、木造の柱にCLTの梁を渡し、その上に床となるCLTを載せます。
さらにその上に耐火ボード、化粧床材などを重ねることで、最終的に私たちが歩く「床」が完成します。
つまり、この東側部分は鉄骨材で床を支えるのではなく、木の柱・梁・CLTによって構成されるため「木造」と呼ばれています。


■太い木の柱にも秘密があります
木造部分の柱にも特徴があります。
柱には愛知県産材のヒノキを使用しています。
その周囲に耐火ボードや化粧材などを施して、最終的な柱として仕上げます。
太いものでは、約400mm×450mmにもなる大きな柱です。
木の柱と聞くと、昔ながらの木造住宅の柱をイメージするかもしれません。
しかし、実際に製作された部材を見ると、その大きさや構造に圧倒されます。
木を構造材として使いながら、現代の建築に必要な耐火性能などにも対応しています。


■そして、木造建方が始まりました
鉄骨建方が進み、いよいよ新社屋の木造部分の建方が始まりました。
あいにくの天候ではありましたが、この日は新社屋の工事にとって大きな節目の日です。
コロナ前から数えれば、足掛け6年半にわたって取り組んできた新社屋プロジェクトが、いよいよ目に見える形になってきました。
特に印象的だったのが、3階まで伸びる通し柱です。
図面やCGで何度も見てきた新社屋が、実際の木材として目の前に立ち上がっていく。
その姿を見ていると、計画を始めた頃のことが思い出され、何とも感慨深いものがあります。
今週中には、螺旋階段の設置と3階のCLT床まで施工する予定です。
なお、木造部分の2階は吹抜けとなっているため、2階部分には床がありません。


■少しずつ、「新社屋」になっていく
ここまで、地面から基礎が現れ、鉄骨が立ち上がり、梁が組まれ、そして木造部分の柱が立ち始めました。
最初は何もなかった敷地に、少しずつ建物の輪郭が現れてきています。
これからにCLTの床が組まれ、木の柱や梁が見え、耐火・外装・内装など、さまざまな工事が加わっていきます。
工事が進むにつれて、今しか見ることのできない景色は少しずつ変わっていきます。
鉄骨だけが立っていた時期。
空中に浮かぶように見える柱。
赤茶色と灰色の鉄骨。
6階まで立ち上がった鉄骨。
そして、そこに木の柱が加わっていく姿。
完成した建物では決して見ることのできない、「建物が生まれていく途中の姿」です。

■完成まで、もうしばらく
新社屋の完成に向け、工事はこれからさらに進んでいきます。
「ひと・もの・こと」をつなぎ、社内外の人が集まり、そこから新しい出会いやアイデアが生まれる。
そんな「共創」の場を目指して計画してきた新社屋が、少しずつ現実の姿になってきました。
これからも工事の進捗とともに、普段はなかなか見ることのできない建設現場の様子や、建物に込められた工夫などをお伝えしていきます。
「完成までの過程も、新社屋の一部」です。
これからどのように姿を変えていくのか。
ぜひ、完成までの新社屋の成長を一緒にお楽しみください。
三栄商事 新社屋プロジェクト
完成まで、もうしばらくお付き合いください。